残っていくもの

【少恩】



そこにある感情や姿の全てが

現実の出来事を伝えるに相応しい鮮明度があり。



誇張したような表現も無いそれらは真直ぐ胸に届き。

和憲さんという人が生きた証、

取り巻く人々の温もりをクリアに感じ、なぞる事が出来ました。





言葉にすると薄いものになりそうで

このお話の内容について安易な事は言えませんが。



ただ和憲さんの中にある愛情が生む「強さ」や故の優しさ、

そしてどんな状況下でも自分を失わず

前を見詰め生き抜くその姿勢、正に

「最後の1ページまで書き込めた」人生に

触れられてよかったと。



理不尽な死には昔から立ち会ってきて

「だから限りある人生如何に生きるか」だ、

という事は頭にあれど、

実際にはポジティブさに欠けていたりで。

自分を省みました。

深いところで感じたものを自分の中に残したいなと。









で、「ドラマ」としての内容に関して話を戻すと。
















やはり、役者陣が本当に素晴らしく。

2時間という枠の中で出来る事は

あまりに限られていて、エピソードも削らざるを得なく、

また演出で一部勿体無いなぁ、と思う部分も

無きにしも非ずでしたが。否、少々勿体無かったですが。

演技力により強く響くドラマであった事は間違いないです。



今更ですが、やはり大竹しのぶは凄すぎますね。(敬称略)

高橋一生くんの温もりある演技もよかったなぁと、

留学から帰って来て慟哭する場面、非常に引き込まれました。



そして和憲さん演じた二宮さん、

本当にどこにも本人を感じられず。

纏った雰囲気から話し方の間、というか発声に至るまで、

彼が掴んだ和憲さんを生きていたんだなと。





ロビーでの「楽しい事なんて何もないんだ」と「お願い」の

耐えつつ絞り出すように感情を吐露する姿。

看護師さんへの「ごめんね」の後に歪む顔。

既に固くなった表情で食事をしつつ涙を零す最後のシーン。



よかった。

挙げだすとキリがないですが特に衝撃でした。





二宮さんが元々深いお付き合いのある役者さん達と

人生一回分を生き抜いた今回のドラマ。

彼の無意識、或いは意識下に起こった反応が

今後にまた繋がり広がっていくのが楽しみです。